- 食道の病気
- 投稿者:蒲池医院 院長 蒲池 壽
はじめに
よく胸焼け胸骨後部の違和感があることがあると思います。これらは多くの場合は暴飲暴食等による食道炎(写真1)が多いのですが、ごく希に食道癌の場合があります。今回は食道がんについて簡単に説明しますので、もしこの様な症状がありましたら、消化器専門の医師に検査をしてもらってください。
特徴
食道は口と胃をつなぐ細い管腔臓器で約40cmの長さです。食道は場所によって頚部食道、胸部食道、腹部食道の3つ分けられます。食道がんは胸部食道に多発します。発症の多い年齢は60歳台です。また男女差から見ると圧倒的に男性が多いのも食道がんの特徴です。飲酒、タバコ、辛い物、熱い物の摂取に関係していると言われています。また有る特殊な化学物質、カビも関係しているのではと考えられています。
症状
食道癌の症状の多くは嚥下障害(固形物が飲み込みにくい)、胸骨後部の違和感です。しかし食道癌も早期には他の臓器の癌と一緒で症状がありません。
検査法
みなさんよく胃の集団検診を受けておられるでしょう。胃の検査を受ける場合に食道も良く見てもらってください。胃レントゲン検査では早期の食道癌は発見されない場合がありますので症状があったら、必ず食道、胃のファイバースコープ検査を受けてください。この検査はきつい様に思われるでしょうが、現在はあまり苦しくない様に検査ができますので安心してください。
治療
食道がんの治療は基本的には手術療法です。しかし治療法は患者さんの全身状態、年齢、病気の進み具合で違ってきます。まず手術療法ですがこれには2つの手術療法があります。 一つは完全に食道を摘出して胃または大腸でかわりの食道を再建する方法です。二つめはファイバースコープを使って部分的にがんを切除する方法です。(写真2)。おおまかにいうと前者はすこし進んだがんの場合、後者は早期のがんの場合におこないます。手術療法のほかの治療としては放射線療法、温熱療法、化学療法、免疫療法があります。多くの場合これらの治療方法を組み合わせて治療します。
むすび
食道がんはすこし前までかかったらなかなか完治しない病気といわれていました。しかし現在診断方法の進歩と治療法の改善がなされ、早い時期にがんが発見されるようになり、早期食道癌の場合は約6割の方が完治するようになってきました。いずれのがんに関しても早期発見し治療すれば完治する割合はたかいのです。ですから症状がなくても家族にこの様な方がいる場合は症状がなくてもある程度の年齢になったら、年に1度ぐらい町、会社の食道胃のレントゲン検査を受けましょう。症状がある場合はかかりつけ医に相談し、最初から胃ファイバースコープ検査を専門医(消化器外科、消化器科)で受けることをお勧めします。