- 骨粗鬆症について
- 投稿者:二宮医院 院長 二宮 建二
最近、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)という言葉を耳にしますが、骨粗鬆症とは、一言でいうと体の骨がスカスカになり、弱くなってしまう病気です。骨が弱くなると、ちょっとしたはずみで転んだときに骨折したり、腰痛に悩まされるようになったりします。
骨粗鬆症患者の80%以上は女性で、閉経期の50歳代から、腰が曲がってしまった70歳過ぎの高齢者まで年齢分布も幅広くなっています。残念ながら現時点では、脊柱の変形が起こってかの治療は、消炎鎮痛薬で痛みを和らげるといった対症療法が中心になっています。最もよい治療開始時期は、女性の場合は閉経前後でしょう。診断にあたっては、まず胸椎や腰椎のX腺写真を撮影し、胸骨の変形や骨染の減少をみることが第一です。骨代謝に関係しているホルモン類を中心とした生化学検査を行い、食事や運動などについての問診もかかせません。
骨粗鬆症の治療法は、薬物療法と日常生活療法の2つに大別されますが、閉経後骨粗鬆症の場合は、食事内容のチェックや運動の励行といった日常生活療法が中心となります。
体を支えている骨は、一度完成してからも、常に部分的な破壊と再生を繰り返しています。健康な骨では、そのバランスが巧妙に保たれていますので、骨は減りません。しかし加齢、長期間の寝たきり生活、女性の場合は閉経といった条件が加わると、再生よりも骨の破壊の方が勝るようになります。これが進めば骨は減ってしまい、骨粗鬆症になります。
骨に含めれているカルシウムなどのミネラル分(これを骨塩といい、単位面積あたりの骨塩量を骨量または骨密度といいます。)を測定してみると、年令にしたがって骨量が低下しています。さらに女性では、閉経の時期に大きく骨量が減少します。女性ホルモンが骨を作る細胞を活発にしていたからです。これが女性に骨粗鬆症が多い理由の一つです。
40歳を過ぎたら、骨の健康に注意を払って下さい。カルシウムの摂取目標量は600mgです。実際に私たちが摂取している量は、平均530mgといわれ、年をとるとカルシウム摂取量はさらに少なくなってしまいます。
骨粗鬆症の人は、健康な人より多くのカルシウムをとらなくてはなりません。目標値は1日900mg以上です。現状が500mg前後だとすれば、現在の約2倍のカルシウムをとる必要があるのです。薬(カルシウム剤)でも摂取できますが、食品からとったほうがより自然なうえ、他の栄養も取れます。カルシウムを多く含む食品は、牛乳や乳製品、小魚、海藻類、大豆製品、緑黄色野菜などです。ビタミンDは、日光に当たることにより自分の体内で活性化されます。日光の中の紫外線が必要です。家に閉じこもっていると紫外線に当たる時間が少なくなるので、積極的に野外に出て日光浴をしましょう。 目安は夏なら木陰で30分、冬は日なたで1時間くらいです。