- COPDについて
- 投稿者:白石医院 院長 白石 恒明
風邪をひいてもいないのに頻繁に息切れやせき、たんなどの症状はありませんか?とくに喫煙者でそのような症状があれば、それは年のせいではなく、あなたにはCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の疑いがあります。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、英語の chronic(慢性)obstructive(閉塞性)pulmonary(肺)disease(疾患)を日本語に訳したものです。COPDはひとつの疾患ではなく、慢性気管支炎や肺気腫または両者の併発により引き起こされる閉塞性換気障害を特徴とする疾患で、近年ではCOPDによる死亡者が激増しているため、注目を集めている病気です。
これらの疾患は、長い時間をかけて、気道(空気の通り道)が閉塞(せまくなる・つまる)した状態になるのが共通した特徴で、ついには慢性的な呼吸不全に陥り、酸素吸入器がないと呼吸ができなくなってしまいます。また、急に症状が悪化することもあり、最悪の場合は死に至ることも。2001年には1万3069名がCOPDで死亡しており、さらに日本には約530万人の患者がいると推測されていますが、実際にCOPDの治療を受けている人は、約21万人程度です。
COPDになりやすい人には、分かりやすい特徴があります。まず、喫煙者や家族に喫煙者がいる人、そして、空気が汚れた場所で生活している人、さらに40歳以上の人です。この条件を満たす人は、そうでない人と比べてCOPDになる危険性が高いと言えるでしょう。
現在、COPDで死亡する人の約7割は男性ですが、近年には女性の喫煙率が上がっているため、今後は女性のCOPD患者が増えることが予想されています。
COPDが疑われる場合
* 息切れ、せき・たんの症状を数ヶ月以上それぞれみとめる。
* 喫煙歴がある。
* 粉塵が舞う中で作業していたことがある。
* かぜをひきやすい。
* 喘息のような症状がときどきある。
* 同年齢の人と歩くと坂道などで遅れてしまう。
* 苦しくて夜、熟睡できないことがある。
* 息ぐるしくて思うように食べられない。最近、やせてきた。
多くは40歳以降で発症し、ゆっくりと悪化していきます。早期治療が重要です。
思い当たる症状はありませんか?
あなたの息切れのレベルをチェックしてみましょう。
症 状
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レベル
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息切れを感じない。 |
Grade0
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強い労作で息切れを感じる。 |
Grade1
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平地を急ぎ足で移動する、または穏やかな坂を歩いて登るときに息切れを感じる。 |
Grade2
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平地歩行でも同年齢の人より歩くのが遅い、または自分のペースで平地歩行していても息継ぎのため休む。 |
Grade3
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約90m歩行したあと息継ぎのため休む、または数分間、平地歩行したあと息継ぎのため休む。 |
Grade4
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息切れがひどくて外出できない、または衣服の着脱でも息切れがする。 |
Grade5
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診断結果⇒ Grade1以上で喫煙者は、COPDが疑われます。
COPDは放っておくと、どんどん進行する病気です。根治(病気がない状態)はできませんが、早く治療を始めれば今以上の悪化は止められる可能性があります。
呼吸機能を蝕むCOPDは、日常生活をおくることすら困難になるほどの症状が出るため、進行を止めることは、老後の豊かな生活にもつながります。
一日でも早くCOPD治療を始めるためには、まずは最寄りのかかりつけ医や呼吸器専門医を受診することが第一歩なのです。
平成18年5月